堀内医師
肩関節鏡視下手術
古くから、「40肩、50肩」と言われているものには、実は原因は一つではなく、色々な原因によるものが含まれています。肩関節は、骨・軟骨・靭帯・腱・関節唇など複数の組織から構成され、各々損傷を受ける事があります。
また、糖尿病に起因するもの、長年の透析によるもの、関節リウマチによるものなど全身疾患に続発するものもあります。したがって、治療に当たる際にどの組織がどのように損傷されているかを知る事が必要です。1年待てば治るなとどいう方もいますが、回復を遅らせるだけでなく病態を悪化させることもあります。
また闇雲にリハビリをする事も同様であり危険です。当院では、エコー検査、MRI検査、専門外来による診察で病態を把握した後に適切な治療を計画するようにしています。
肩関節の解剖図
肩インピンジメント
肩板の断裂図
肩関節の鏡視下手術
1.関節鏡視下肩峰下除圧術(ASD)
肩峰を部分的に削って腱板表面のスペースを広げ肩の動きをスムーズにします。
2.関節鏡視下腱板縫合術
腱板の断裂に対する手術です。関節鏡視下に肩峰を部分的に削ったあと、断裂部の縁をきれいにした後にスーチャーアンカーを用いて縫合する方法です。
当院では、フットプリントに腱板断端を密着させるためブリッジングスーチャー法を行なっており、従来法より成績が向上しています。
3.鏡視下Bankart法
反復性肩関節脱臼の症例に行ないます。関節鏡で関節内部を見ながら損傷した関節唇をスーチャーアンカーを骨に挿入して縫合します。また、関節包の緩みがある場合は関節包の縫縮を行ないます。
Net-like DAFF 法による鏡視下 腱板修復術
肩関節は三角筋等の筋肉に取り囲まれた、深部の関節です。
したがって手術の際は周囲の正常組織にダメージを与えて関節に侵入するしかありませんでした。
しかし、最近では関節鏡という内視鏡を用いて関節の内部で損傷された関節唇を縫合したり、関節包を縫い縮めたり、腱板(肩の周囲の筋肉)を縫合するなど従来の手術と同等以上の事が可能となっています。
縫合後の肩板内視鏡画像